鍛練体系

兵法二天一流における土台・足捌き・体捌きの鍛練

兵法二天一流は二刀流の流派です。そのため、片手で一刀ずつを持って両手で一刀を持つ相手にも勝てる、強い攻撃を行わなければなりません。そのために様々な技法や鍛練法があるのですが、その中でも特に重要なのが、土台の鍛練です。

土台の鍛練は、初心者が最初に行う前八という鍛練野中で「土台創り」として行いますが、この鍛練を漫然と繰り返すだけで、二刀流を扱うための鍛練になるわけではありません。

そこで、「土台創り」の鍛練法の鍛練方法、ポイント、応用的な鍛練などを会員向けに解説します。

1章:鍛練の過程で重要な土台

まず、土台創りの鍛練の目的は、鍛練時におけるもの(上達論)と実践時におけるもの(勝負論)があります。

もちろん、実際の見た目としては同じ土台のことを指すのですが、論理的には区別して理解しておく必要があります。

1−1:上達論的見地から見た土台の鍛練の重要性

最初に、上達論的見地からの土台の鍛練について説明します。

そもそも、剣術の技というものは上体(上半身)を主体的に動かして行うものです。簡単に言えば、腕や肩、背中、胸などを使うことで刀を振るのですが、そのためには上体を乗せている土台(下半身)が強固でなくてはなりません。安定した土台がなければ、上体の技の鍛練を集中して行うことができないからです。

「いや、自分は足腰が強いから大丈夫だろう」

と思われる方もいるかもしれません。しかし、土台とは単なる足腰の筋力とは少し異なります。

二天一流の場合、すべての技は「二天一流の足構え」という姿勢で行われます。この足構えは、両足を広げて重心を落とす独特の姿勢ですが、この体勢をとることによって片手での斬りにも全身の力、重みをのせることができます。そのため、この姿勢を意識せずに、自然に取れるようになることが大事なのですが、そう簡単にできるものでもありません。この姿勢を創ることを疎かにしたまま、上体の技の鍛練に入ってしまえば、足構えにも上体の技にも意識が分散したまま鍛練することになり、上体の技も粗末なものにしかならないのです。

そのため、まずは土台創りという鍛練において、意識せずとも正しい形、力の入れ方で土台を創れるようになることが大事なのです。

1−2:土台の鍛練方法

土台の鍛練方法は、前八の「土台創り」の鍛練をとにかく繰り返し行うことです。

細かい点は動画で解説しますが、「土台創り」で行う二天一流の足構えの姿勢を、最初は5分くらいから。徐々に長くできるようにしていき15分、30分と伸ばしていきましょう。

土台が強くなっていくのにつれて、技の鋭さが変わっていくことがわかるはずです。

私の場合、最初に入会して土台創りを始めた頃は、空手もやっていたのですが、土台創りの鍛練をするほど空手の蹴りも安定し、強くなった記憶があります。

2章:実戦において重要な土台

2−1:勝負論的見地から見た土台の鍛練の重要性

上記は鍛練における土台の重要性についてでしたが、土台は、本質的には実戦で必要不可欠なものです。

形としても、鍛練としても同じ「土台」ではあるのですが、論理的には上達論における土台と勝負論における土台のそれぞれに役割があるということを、区別して把握しておくことが大事です。

勝負論的な見方をすると、土台は安定していることで強い攻撃や防御が可能になるという意義があります。土台が弱く不安定であれば、強い斬撃も行えないことは初心者の方でもお分かりになることだと思います。繰り返しになりますが、これは下半身を筋肉で固めればいいということではなく、正しい足構えを崩れないように強く行えるようになるということです。

また、土台にはもう一つ役割があります。それは、相手のいる場所まで技を「運ぶ」ということです。

当然ながら、実戦においては相手に攻撃が届くところまで移動してから攻撃しなければなりませんが、そのためには素早く、相手に悟られない足捌き、運足が必須です。

しかし、ここまで説明してきた土台の鍛練は、足を止めた上体で強固な土台を創出していく方法でしたので、この鍛練だけでは、相手のいるところまで技を運ぶ、素早い足捌きを身につけることができません。

したがって、土台は強固であることと、素早く柔軟に移動可能であるという、一見矛盾した2つの要素を併せ持つものとして鍛練しなければならないのです。

2−2:土台の鍛練方法(発展)

前八で行う基本的な「土台創り」の鍛練では、足幅を固定し同じ体勢を長時間維持する鍛練です。

そこで、この体勢のまま素早い移動が可能になるように発展的な鍛練を行うことも大事です。

具体的には、まず「二天一流の足構え」を土台創りの基本の流れの通りに行います。そして、ここから半身から半身へと転換することによって前進していく鍛練を行います。右足前の二天一流の足構えになっている場合、左足を踏み込み、左足前の二天一流の足構えになることで、前進します。この繰り返しによって、半身から半身への移動による前進を技化していくことができます。

ただし、この動作を普通に行うだけでは不十分です。

日常的な動きの延長で行おうとすれば、後ろ足で地面を蹴り、前足に体重を預けて前方に進もうとすると思います。このような動きでは、無駄な動きがあるために敵から動きを察知されやすく、まだ余計に筋力を稼働させるため遅くなってしまいます。

そこで、下記のポイントに気をつけて鍛練を行います。

①地面を蹴らずに進む

半身から半身への転換では、地面を蹴らずに進無ことが重要です。

具体的には、前に出ている方の膝の力を抜くようにつつ、後ろ足の膝を曲げ、前方に素早く送り出すようにします。連続的に踏み込む場合は、後ろ足を前に送り出し、踏み込んだ瞬間に、あたかもそこに落とし穴があって体重を預けることができなくなったかのような感覚で、倒れ込むように前に進みます。もちろん、実際には倒れ込むようになってしまうと上半身が崩れ隙が出てしまいますので、あくまで感覚的な部分のことです。

②腰を回さない

半身から半身に変換して移動する場合、多くの人が腰を大きく回すようにしてしまいます。しかし、これでは無駄な動きが生まれてしまうため、この要素をなくしていくことが重要です。

そのためには、足を踏み出すときに、腰が左右に割れ左右の腰が別々にスライドするような意識で、鍛練することが大事です。実際には、鍛練を積んでも、実際に腰が大きく割れるように動くことはありません。しかし、わずかでもそのような動きができるように、意識して鍛練していくことが大事なのです。

このように、腰を割るように動かす鍛練を行うことで、体幹の力を使って足を使うことができ、より無駄のない、見えにくい動きを行うことができます。

私の経験上、このように腰を左右に割って動かす意識を鍛練するためには、股関節や腰骨・仙骨の意識を鍛練することが大事だと感じています。そもそも、多くの方は足を動かす時に、腿から下を意識してしまうように思います。私もおそらく最初はそうだったのかもしれません。このような意識では、足を十分にうまく使うことができず、土台が弱かったり、足捌きが円滑に行えないものです。また、歩く時も腿から下の筋肉を主に使っており、疲れやすい場合もあるのではないでしょうか。

股関節や、腰骨・仙骨まで意識して鍛練し、柔軟に使えるようになると、土台が強くなり、また素早い移動も可能になるはずです。そして日常的な動作も楽になるでしょうし、当然、他の武道もやっている方は、その武道の技にもいい影響が出ると思います。

1−3:膝行の鍛練

この、腰を左右に割って使う使い方を鍛練するためには、前八の「膝行」の鍛練を行うことも重要です。膝行では、自分の正中線を強く意識しながら重心を前に倒すことで前進力を生み、さらに後ろ側の足の膝を前に送り出すことで前進していく鍛練法です。この鍛練でも、腰を回さない意識が重要ですが、二天一流の足構えで半身から半身に転換する鍛錬よりも、さらに強く腰を割る意識を持たなければ、腰を回してしまいます。

そのため、膝行の鍛練をくり返すことで、股関節の使い方や、腰骨・仙骨を使う意識を強めることが可能なのです。

3章:その他の補助的な鍛練

一般的なストレッチや筋トレの本に書かれてある、股関節や骨盤の使い方のトレーニングを補助的に行なってもいいと思います。

あくまで鍛練の主体は前八にしなければなりませんが、他の運動も行なってみることで、感覚を掴みやすくなることもあるからです。ただ、私がいくつかの本を読んで少し実践してみた感覚では、やはり土台創りや半身から半身への転換の鍛練、そして膝行の鍛練が、やはり非常に優れたものであると感じました。

いろいろなトレーニングに手を出すよりも、まずは前八の鍛練を繰り返し行う中で、これらの感覚を養っていくのがいい鍛練だと思います。

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