現在の二天一流の稽古

二天一流について

【現在の二天一流】他の二刀流との違いと当流派が行っている鍛練の特徴

二天一流について、たくさんの書籍が販売されていますし、ネット上にも大量の情報が存在します。しかし、その中には間違った情報も多くあります。

そのため、せっかく興味を持って調べても「何が正しいのか分からない」と思う人も多いのではないでしょうか?

私達は、二天一流に関する間違った情報が蔓延している現状を危惧し、少しでも正しい情報に触れる人が増えるように、このサイトで情報発信していきたいと考えています。

そこでこの記事では、二天一流の歴史や他流の二刀流との違いについて、現役の二天一流の修行者である私達が詳しく解説します。

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二天一流とは

二天一流とは、流祖宮本武蔵(新免武蔵藤原玄信)先生によって創始された剣術の流派です。二天一流は、宮本武蔵先生の代で終わったと思われていることもありますが、現代まで脈々と伝わっており、現在も全国に複数の道場が存在します。

当流派は、正式名称を「細川家伝統兵法二天一流」と言い、山東派という流れに属します。玄信会は、山東派二天一流、十一代目継承者である宮田和宏先生が創始した会です。現在は福岡の本部道場を中心に、広島支部や秋田愛好会、東京支部等、全国で会員が稽古しています。

二天一流の他の二刀流との違い

二天一流は二刀流ですが、他の二刀流の剣術とは異なる部分があります。

宮本武蔵の二天一流そして兵法二天一流玄信会の二刀流は、基本技から勢法五法之太刀に至るまで、一刀や小太刀、抜刀術なども含めてすべて二刀の技・二刀の鍛錬となる技として組み立てられていることが最大の違いです。

また、技そのものについては、大小二刀という間合いの異なる武器を同時に用いる技であるのが特徴です。

このような二天一流独自の技は、当初から二刀を二刀そのものとして修業しなければ身につけることはできないと我々は考えています。他流派の二刀の技は、主たる一刀主体の技とは別個かつ並列的に存在するものといえます。つまり、基本から奥儀まですべての技が二刀によって統一されているというわけではありません。最初から最後まで二刀の技で統一されているのが、二天一流の最大の特徴と言えるでしょう。

二天一流玄信会の稽古の特徴

しかし、二天一流玄信会では、現時点(平成29年現在)では、試合や互角稽古(自由に打ち合う稽古)はしていません。稽古はすべて基本技である前八と勢法(型)の修練です。
また、勢法(型)の稽古も、茶道や華道のように、型どおりの動作ができればよいというものではなく、実際に真剣勝負で戦える技と精神を鍛えるという観点で稽古をしていきます。

剣道のような試合や互角稽古を行わない理由は、流祖・宮本武蔵先生の技を復元するため、現在は流派としても「技を創る」という過程を修練している段階だからです。

武道の修練は、大きく分けて「技を創る」という過程と「技を使う」という過程があります。なお、この「技を創る」「技を使う」という論理は、武道哲学者・武道科学者である南鄕継正先生が発見した武道理論です。

以上の二つの過程を、「技は創ってから使う」という正しい順序で学んでいくことが、武道を極めるために必須であると我々は捉えています。よって、現在は「技を創る」という過程にいますが、会員全体の実力向上に伴い、将来的には「技を使う」ための修練も正式な体系として検討していく予定です。

二天一流と剣道を並行して学ぶことも可能

とは言え、現在剣道をやっていて、二天一流を並行して学びたいと思っている方もいらっしゃると思います。兵法二天一流玄信会の会則では、現代剣道を学んでいるだけであれば入会は可能です。

二天一流と剣道を並行して学ぶ場合、基本とされる体の使い方に多くの異なる点があることに戸惑われると思います。たとえば剣道では踵を浮かして両足を相手にまっすぐに向けますが、兵法二天一流玄信会では撞木足(踵を地面に付け、後ろ足を相手に向かって斜めにする足)を基本としています。運足については、二天一流では左右の足を交互に出す歩み足が基本ですが、剣道では常に右足を前に出したすり足での継足が基本です。現代剣道は、障害物のない平らな床の上で、防具と竹刀を用いて一対一の戦いをする武道として行われてきたことが、このような違いを生じさせたひとつの理由です。

したがって、すぐに二天一流の技を剣道の試合で使ったり、剣道で身に付けた動きを二天一流に応用することはできません。初心のうちは二天一流の基本をしっかりと身に付けることをお勧めします。しかし、そもそも現代剣道の防具をつけて竹刀で打ち合うという稽古方法は、江戸時代中期の古流剣術で「技を使う」ための稽古方法として発明され、当時は修業者の実力を大いに高めることができたものでした。剣道の稽古方法を論理的に捉え、二天一流の基本の稽古とともに正しく行っていけば、二天一流の技を実戦で使えるようになっていけるでしょう。

なお、兵法二天一流玄信会の会則では、全剣連(全日本剣道連盟)居合及び他流派の古流剣術・居合を現在も学んでいる人は入会できません。その理由は、『技を創る』という観点から、他流派の技を併学することでどっちつかずの技になってしまい、二天一流も他流派も極めることができなくなってしまうからです。

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