9月11日(火)に、二天一流玄信会東京支部の毎月の稽古会を行いました。
今回は、抜刀術についメンバーそれぞれの進捗に合わせて稽古を行いました。
これまでに前八の鍛練をしつこく行ってきたため、抜刀術についてはかなり覚えが早くなってきたように思います。
勢法の予習について
そして、次回以降は勢法の内容を主に行っていく予定です。
勢法とは、二天一流における「型」のことで「勢法一刀之太刀」「勢法一刀小太刀」「勢法二刀合口」「勢法五法之太刀」があります。
12月に宮田先生を福岡からお呼びして、2日間に渡って稽古を行う予定なのですが、この稽古会の内容が勢法がメインになる予定です。
そして、せっかく直接指導して頂くなら、より密度を高めるために事前に勢法の流れや内容、技名、理合について知っておく方が良いと、メンバーの話し合いで決定しました。
そのため、10月、11月の二天一流東京支部の稽古では、勢法を主に行います。
勢法とは
せっかっくなので、勢法について少し詳しく解説します。
勢法というのは、前述のとおり二天一流剣術における型のことです。実際に技を行う「仕太刀」と攻撃をしかける「打太刀」に分かれて、木剣で打ち合いながら稽古をします。
ほとんどの技では、互いに3歩離れたところから進み、打太刀が攻撃したのに対して、仕太刀が決められた技を行う、という流れで行います。
勢法には以下のものがあります。
- 「勢法一刀之太刀」・・・一刀(大刀)を使っての型(12本)
- 「勢法一刀小太刀」・・・小太刀(小刀)を使っての型(7本)
- 「勢法二刀合口」・・・二刀を使っての型(14本)
- 「勢法五法之太刀」・・・二刀を使っての型(5本)
二天一流について知らない方は「二刀流なのに一刀や小太刀もあるの?」と思われるかもしれません。
確かに、二天一流は、確かに二刀を主体とした剣術で、そこに最大の特徴があります。
しかし、初心者がいきなり二刀流の剣術を身につけることは至難の業です。
そのため、二刀の勢法の鍛練の前に、一刀や小太刀の勢法で間合い、拍子、一重身から一重身への転換(体捌き)、木剣の重みを使った斬りといった、二天一流における特徴的な身体操作や精神を学ぶようになっているのです。
ポイントは、一刀や小太刀の勢法であっても「二刀流の鍛練である」と意識して鍛練することです。
あくまで二天一流は「二刀を主体とする剣術」であるため、この点を忘れては、二刀での鍛練に繋がらないのです。
一刀、小太刀、抜刀術が体系に追加された経緯
流祖宮本武蔵の時代は、たった五つの「五つのおもて」の型しかなかったようです。
しかし、宮本武蔵が二天一流を指導していた弟子達は、実戦での戦闘経験があったり、すでに他の流派をいくつも収めているような武士達でした。
そのため、いきなり二刀の技法を教えても修得することができたのです。
しかし、徐々に時代が変わり、日常から戦闘が離れ、戦闘経験がある武士が少なくなっていきます。
その中で、いきなり「五つのおもて」を教えて二刀流に習熟することが難しくなり、二刀合口、一刀、小太刀といった型の体系が追加されていったようです。
さらに、現代に入ると、日本刀の扱いすら知らないのが普通になっていきます。
その中で、抜刀術や、二刀を扱うための身体を創るための「前八」といった体系まで追加されていくのです。
したがって、日本刀の扱いも知らず、昔の武士達のような剣術の達人ではない私たち現代人は、しっかりと玄信会の体系に沿って、
前八→抜刀術→勢法一刀之太刀→勢法一刀小太刀→勢法二刀合口→勢法五法之太刀
という順番で鍛練することが必要であり、いきなり二刀の鍛練をしても絶対に身につかないのです。
東京支部では、これまでに時間をかけて前八、抜刀術を行ってきたため、ようやく勢法に入る素地ができてきたと思います。これから、本格的に勢法・組太刀に入っていけることがとても楽しみです。